全国森林インストラクターのロゴマーク 全国森林インストラクター会 Homepage
▼ News & Newsを考察 ! ▼

Newsを考察!▼2008.04
オキナワトゲネズミの生息確認から種の多様性を考える (2008年3月5日)

オキナワトゲネズミを確認
3月3日、約30年ぶりに沖縄本島でオキナワトゲネズミの生息が確認されました。 オキナワトゲネズミは体長が約15cmで、尖った毛をもち、沖縄本島の自然豊かなシイなどからなる照葉樹林に生息しています。 南西諸島の固有種で、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストのCR(近絶滅種)、環境省や沖縄県のレッドデータブックのCR(絶滅危惧1A類/近絶滅種)、国の天然記念物、に指定されています(参考文献1)。 そこで、今月は固有種が絶滅することの影響について改めて考えてみたいと思います。

自然界のバランスを永久に崩す恐れがある固有種の絶滅
森の中には何百万年という長い時間をかけて出来た生態系の循環の仕組みがあります。 食物連鎖では、例えば、イモムシは葉っぱを食べ、小型の鳥はイモムシを食べ、大型猛禽類や小型の鳥を食べます。 クマやシカは主に草食でドングリや木の皮などを食べます。一方で菌類は枯葉を分解して土に返し、生態系の循環の一部を担っています。 この様に森の中に住む全ての生き物は全てがなんらかの形で関わっています。 例えネズミであっても、食物連鎖の一部であるだけでなく、種を運ぶ役割などその役割は想像以上に大きいのです。
小さな一つの種であっても自然界では様々な役割を担っているのです。
固有種の絶滅は長い時間をかけて出来あがった自然界のバランスを保つ仕組みの一部を永久に欠くことになります。 もし、その影響が自然の力が吸収できる範囲を超えてしまった場合には、何らかの形で歪が現れます。 しかし、その変化はゆっくりしたもので、私達か気が付いた時には、取り返しが付かなくなる恐れがあります。 したがって、固有種の絶滅には注意を払うべきなのです。
また、今回の事例でもう一つ厄介なことは、絶滅の要因が外来種にあることです。 次にその点を少し考えて見たいと思います。

外来種起因の固体種絶滅の問題点と今回の発見の意義
森を中心とした巧みな循環の仕組みの中で、私達人間は生きていくために、その仕組みにダメージを与えない範囲で、自然界からの「おすそ分け」を頂いてきました。
過去によくあった種の絶滅の問題は、その「おすそ分け」を欲張り過ぎたことが原因となる場合が多く、その場合には対策も取りやすいと言えます。 しかし、近年の外来種が原因となる場会いは、その影響は間接的に広がる為、発見や対策が難しいことです。 外来種に対しては法整備が始まっていますが、外来種を日本の自然に放した人間側にも罪の意識が無いケースもまだ多いと思われます。
その様な中、オキナワトゲネズミが確認されたことで、継続した調査によって外来種の影響をはじめとした様々な生態を分析できる可能性がでてきました。 特に、島という狭く独立した生態系では、生態系の解明は比較的分かりやすいかもしれません。 今後の調査に期待したいと思います。

まとめ
外来種には荷物と共に誤って持ち込まれる場合もありますが、少なくとも、オキナワトゲネズミに影響を与えているとされているノネコやマングースなどは、人間が可愛さや珍しさから身勝手に持ち込んだものと考えられます。
今回の例をはじめ、島に存在する固有種(イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギ、など)の減少は、間接的で捉えにくい外来種の影響を私達に早く教えてくれているのではないでしょうか。トゲネズミはハブとう天敵に対する巧みな防御方法を身につけているそうです(参考文献2)。この様な自然界の巧みな仕組みは簡単に生まれるものではありません。 最新の科学的データと昔からの知恵を集め、適切な対策を議論することが望まれます。

■参考文献
参考文献1:WWFホームページ(2008年3月5日)
http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/news/2008/20080305.htm
参考文献2:東京大学総合研究博物館 刊行物データベース
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1995collection2/tenji_honyurui1_33.html


以上
▼HOME▼

全国森林インストラクター会