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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2017年3月 熱帯雨林の問題と森林の状況を把握する最新技術について考える 

今月はアマゾンの熱帯雨林減少加速に関するニュース記事から、世界の森林の状態を把握する技術やその活用の可能性について考えてみたいと思います。

■アマゾンの森林の現状
ブラジル国立宇宙航空研究所(INPE)は、現在のアマゾンの熱帯雨林の消失速度が危険領域にあり、2020年までにアマゾン熱帯雨林地域での森林削減を止められない場合、2050年までにアマゾンの熱帯雨林に取り返しのつかないダメージを与える可能性があると警告しています(参考文献1)。その一方で、ニュース記事では政治的な不安定などの背景もあり、法整備や森林保護に向けた資金や人材の確保の難しさを指摘しています。

■調査には日本の技術がバックアップ
アマゾンの熱帯雨林の観測には日本の技術も貢献しています。国立研究開発法人森林総合研究所は、東京大学生産技術研究所、ブラジル国立アマゾン研究所、INPEと共同で、アマゾンの熱帯林を対象に、1万枚を超える人工衛星画像と、270万点以上の宇宙からの三次元レーザー計測の結果を機械学習によって結合する方法で樹高の広域地図を作成しています(参考文献2)。
熱帯雨林の減少については、2000年から2010 年までの10年間に年間1,300万ヘクタールの森林が失われ続けており、アマゾンに加え、インドネシアやアフリカの森林も問題となっています(参考文献3)。衛星を活用した森林の状態把握は、森林を維持管理していくための基本情報であり、今後の更なる活用が期待されますね。

■熱帯雨林の実態を把握したうえでの原因究明に期待
熱帯雨林減少の原因には、農地等への土地利用の転換、自然回復力を考慮しない非伝統的な焼畑農業、燃料用木材の過剰な採取、森林火災、違法伐採等による持続可能な森林経営、などが指摘されています(参考文献3)。森林の状態を正確に捉えることで、一方的な伐採規制ではなく、森林の状況に応じた利用方法の優先順位付けなど様々な取り組みの可能性が広がるのではないでしょうか。

■まとめ
今回はアマゾンの森林減少のニュースと、森林の状態を正確に把握する技術とその可能性について考えてみました。科学的な分析は問題解決の筋道を決めるために重要ですが、それらの論理や知見を地元の人たちに一方的に押し付けるのではなく、地域ごとに異なる価値観を尊重することも重要です。森林の情報を分かりやすく発信し、会話を重ねることが大切なのかもしれません。このことは国内外を問わない共通課題であり、私たち森林インストラクターも分かりやすく説明することを日々、心がけていきたいと思います。
最後に、兵庫県の森林インストラクターである清水さんが毎日新聞の地方紙に取り上げられました(参考文献4)。私たちの仲間の各地域に根差した地道な活動についても、情報発信していきたいと思います。

参考文献1:View point OPINION & COLUMN 「「地球の肺」が危機、アマゾン熱帯雨林消失が加速(2017年2月18日)」(2017年2月19日閲覧)
http://vpoint.jp/world/usa/82523.html

参考文献2:国立研究開発法人森林総合研究所プレスリリース「アマゾン熱帯林全域の高精度樹高マップを作成―衛星データと地上踏査で熱帯林の三次元構造の精度検証に成功(平成27年8月5日)」(2017年2月19日閲覧)
https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2015/20150805/index.html

参考文献3:環境省 フォレスト パートナーシップ・プラットフォーム ホームページ「世界の森林はいま」(2017年2月19日閲覧)
http://www.env.go.jp/nature/shinrin/fpp/worldforest/index1.html

参考文献4:毎日新聞地方版「六甲山を守り、育てる 森林インストラクター・清水孝之氏(兵庫15-1784) /兵庫(2017年2月7日)」 (2017年2月19日閲覧)
http://mainichi.jp/articles/20170207/ddl/k28/070/506000c



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