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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2023年7月 竹のパトロール「タケノコ番」から自然との向き合い方を考える

今月は長野県戸隠の竹細工用のネマガリダケ(チシマザサ)を管理するためのパトロールに関するニュースから自然との向き合い方について少し考えてみたいと思います。

■ネマガリダケのパトロール「タケノコ番」
旬を迎えたネマガリダケを維持するためのパトロール活動「タケノコ番」が長野県戸隠近くの黒姫山一帯で行われています。戸隠の竹細工は長野県の伝統的工芸品「信州竹細工」であり、天然素材、手仕事、使いやすさ、丈夫さ、美しさ、から人気があります。ネマガリダケは江戸時代初期から利用され、タケノコ番は明治時代に発足したそうです(参考文献1)。ネマガリダケは日本海側や東北の標高の高いところにみられ、戸隠では冬の手仕事として、技術を継承してきました。明治時代に蚕籠(かいこかご)などの需要から生産量のピークをむかえ、現在は約30人の職人がその技術を継承しています(参考文献2)。

■京都に見られる竹林管理の取り組み
他方、京都では建築材、垣根、茶道用具などに用いる良質なマダケの生産を維持するため、適切な竹林の管理や再生の取り組みが民間で進んでいます(参考文献3)。昨年11月にこのコーナーで紹介した放置竹林への対応を含め、長野や京都のような良質な天然素材を枯渇させず維持する仕組みが全国に見られます。

■江戸時代の林業現場
ここまでは竹を話題にしましたが、林業の現場では過剰伐採や災害への危機感から江戸時代には山林を諸藩領主の管理下におき伐採を禁じる御林(おばやし)や御留山(みとめやま)、樹種を指定して伐採を禁ずる御留木(おとめぎ)、の取り組みが行われています。20年毎に伐採する輪伐法(萩藩の「番組山」、秋田藩の「番山繰」)も生まれています(参考文献4)。

■まとめ
日本では昔から自然の資源を大切にしながら利用してきました。サーキュラーエコノミーに関心が高まる今(参考文献5)、枯渇と放置の両面へ配慮してきた先人の知恵を再認識することも大切だと思います。

参考文献1:信濃毎日新聞デジタル「年配の男女が次々と…「ここ採っちゃ駄目な場所」 職人の生活の糧、タケノコ採らないで(2023/6/9)」(2023年6月11日閲覧)
https://news.yahoo.co.jp/articles/062945d478176d663a0940bf531dcc429b70e05e

参考文献2:戸隠中社竹細工生産組合「戸隠竹細工の紹介」 (2023年6月12日閲覧)
https://www.togakushi-takezaiku.com/products/

参考文献3:農林水産省広報aff(あふ)「竹を知りつくした職人に学ぶ!竹の栽培と匠の技(2021年3月号)」(2023年6月16日閲覧)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2103/spe1_03.html

参考文献4:林業学習館「森づくりは100年の計」(2023年6月16日閲覧)
https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/kikan/documents/kikanffpri50-feature.pdf

参考文献5:環境省環境再生・資源循環局「循環経済の実現に向けて(2023/3/7)」(2023年6月18日閲覧)
https://www.env.go.jp/content/000116997.pdf



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