今月は一般社団法人の取り組みから森林資源の活用について少し考えてみたいと思います。
■森林資源フル活用の取り組み
一般社団法人「プラチナ構想ネットワーク」が森林資源をフル活用し人間生活を豊かにする「森林循環経済」を目指すロードマップを発表したそうです。同ネットワークが2023年に示した「2050年までに実現するビジョン(脱炭素化、経済保障強化、地方創生、森林文化の醸成を同時に目指す)」の実現に向け、①官学民による総力を挙げた森林循環経済の実現、②リサイクルやバイオマス資源を活用した化成品生産の早期立ち上げ、③木造都市の加速、④もうかる林業の実現、を柱としています(参考文献1)。
■連携の重要性
森林資源の活用は上記の活動にもみられるように、木材供給から流通・利用・森林整備に加え、経済面で回る仕組みの構築、文化の醸成など、様々なステークフォルダが関わります。特に、森林整備は100年単位の継続性を考えていく必要があり、経済的安定性の確保は大きな課題です。上記ネットワークの取り組みからは様々な視点のヒントがあるかもしれません。
■森林に関わる経済の循環
林業の継続性という視点からは、林野庁では「持続可能な木材利用」として、木材の長期的利用のための人材育成などを含む様々な仕組みを検討しています(参考文献2)。本コーナーでも昨年3月にCO2排出クレジットに絡めて林業の継続性に触れ、昨年10月と今年の2月には木材資源の利活用についても触れました。これらの活動に加え、一時的な補助金を活かしつつも、継続性を持って経済が循環していく仕組みを、様々な取り組みを連携していく中で見えてくると良いですね。
■まとめ
今月は一般社団法人の取り組みから森林資源の活用を少し考えてみました。昨年8月に取り上げたバイオマス発電の問題は、木材供給を含む全体的な経済循環がうまく進んでいない表れなのかもしれません。森林を取り巻く様々なステークフォルダを広く俯瞰する視点を持って、「木を見て森を見ず」にならないようにしたいですね。
参考文献1:産経新聞Sankei EVENT Info「資源自給国家を目指せ 「森林循環経済」推進戦略を発表 プラチナ構想ネットワーク(2024/7/9)」(2024年7月15日閲覧)
https://www.sankei.com/article/20240709-SPEDUGCGGBDNBJ3DZDWHGJ2LJA/?outputType=theme_event
参考文献2:林野庁ホームページ「持続可能な木材利用」(2024年7月19日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/boutai/230522.html
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