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Forest Instructor Association of Japan

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2026年2月 大規模造林について考える

今月は環境対策として進められている大規模造林について、中国とインドネシアの事例と日本を比べながら、少し考えてみたいと思います。

■中国における大規模造林の影響
中国東部のモンスーン地域と北西部の乾燥地域の水資源が、植生の増加に伴い減少していることが、2001年から2020年の観測データの分析から明らかになったそうです。この原因は植林政策による蒸発散量の増加であると指摘されています。蒸発散とは、地表からの蒸発と、植物が気孔を通じて水蒸気を放出する蒸散を合わせた概念です。森林が拡大すると、多くの水が大気中へ移動することになり、降水パターンにも変化が見られるとのこと。水資源は人の生活に密接にかかわるため、水の循環と人口分布の関係に考慮した植林政策の必要性が指摘されています(参考文献1)。まだ未解明な部分も多々あると思います。さらなるデータの分析が進み、新しい知見が共有されると良いですね。

■インドネシアの場合
一方、インドネシアでは、大規模造林の影響はそれを受け止める地域の社会経済状況や自然環境条件の相互作用を受けるとされ、造林の計画段階で、対象地域の社会構造、経済状況、自然状況などによる住民生活への影響把握が重要であると指摘されています。例えば、焼畑利用面積が多い場所では、造林事業主と住民と間で土地を巡る争いが深刻になる、等の事例が紹介されています(参考文献2)。

■日本の現状
日本は少し状況が異なります。昔から豊富な森の恵みを活用する一方、江戸時代や戦時中など、過去には過度な伐採も見られ、成長が早く木材利用に適する針葉樹を植えてきました。日本の人工林比率は40%であり、世界平均の7%に比べ突出しています。それらの人工林は伐採期を迎え、今では伐採後の再造林が課題となり、造林の低コスト化が検討されています(参考資料3、4)。人工林比率が突出している日本は森に向き合ってきた経験が長く、直面している造林の課題を乗り越え、有益な情報を世界に発信できると良いですね。

■まとめ
今回は、中国とインドネシアの大規模造林の課題と、日本の状況について触れました。東南アジアを対象とした調査では、森林面積の増加に転じやすい国は、①森林の生産性が良く、かつて森林減少に見舞われ、森林の価値が上昇した国、②農業生産量が少なく農地拡大の圧力が弱い国、③社会的自由度が相対的に高い国と低い国、とのことです(参考文献5)。環境問題の解決に向けて造林への期待が高まっていますが、地域ごとの自然環境、経済(地域住民の生活)、政治などの様々な特性を考慮した柔軟な対応が求められています。


参考文献1:婦人画報エスクァイア・メールマガジン「専門家「780億本の植林で水循環に深刻な異変」世界最大級の植林プロジェクト、その光と影【中国】(2025/12/31)」(2026年1月16日閲覧)
https://www.esquire.com/jp/news/science/a69724464/china-reforesting-changed-hydrology/

参考文献2:森林総合研究所「CO2吸収をめざした熱帯での大規模造林が地域社会に与える影響」平成14年度 森林総合研究所 研究成果発表会 (2026年1月16日閲覧)
https://www.ffpri.go.jp/labs/kouho/FFPRI-sympo/2002/4.html

参考文献3:林野庁整備課造林間伐対策室「林野庁の再造林の促進施策について(2023/9/21)」(2026年1月17日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/kinki/sidou/gijyutukaihatu/attach/pdf/230921-1.pdf

参考文献4:林野庁ホームページ「世界森林資源評価2020主な調査結果(仮訳)」(2026年1月18日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-53.pdf

参考文献5:森林総合研究所「熱帯林は低標高地が広がる国で破壊されやすいが、回復もしやすい ―東南アジアにおける熱帯林増減の要因を解明―(2018/5/31)」(2026年1月17日閲覧)
https://www.ffpri.go.jp/press/2018/20180531/index.html



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