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2026年3月 木造建築物の価値と温室効果ガス排出量算定ルールについて考える

今月は木造建築を対象とした温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度(SHK制度)更新の記事から、木造建築物の様々な価値について、少し考えてみたいと思います。

■木造建築物のCO2排出量削減の取組を可視化
SHK制度は、温室効果ガス排出量の削減促進を目的とした「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく制度です。今年4月の改正で、新たに木材製品利用による炭素貯蔵量を数値として算定・報告できるようになるそうです(参考文献1、2)。これにより、木造建築を行った事業者は、建築に伴い排出したCO2から炭素貯蔵が増えた分を差し引くことができ、木材利用に取り組む価値を有価証券報告書などに定量的に記載できるようになります。日本政府は2028年度に建築物のCO2排出量の算出を義務化する制度を検討していることもあり(参考文献3)、CO2排出削減等の取組を不動産の評価に結び付けていく動きが加速すると予測されています。

■CO2削減価値から金銭的価値へ
事業主のCO2排出量の削減への取り組みを含む環境等への配慮は金融機関の投資判断にも活用されつつあり、ESG投資はその枠組みとして期待されていますが(参考文献4)、現時点では、木造建築の価値を金銭的に算定するには至っておらず、今回のSHK制度の改定に期待が高まっています(参考文献1)。

■木造建築物がそのライフサイクルで有する多様な価値
木材建築物の価値は炭素を貯蔵してCO2排出量削減に貢献することに加え、住む人にとっては、気持ち良い、においが良い、結露しない、など様々な効果がみられます。加えて、解体時には建材として再利用が可能ですし、再利用ができなくても薪などの燃料になり、燃やした灰は肥料や釉薬になり、ライフサイクル全体で沢山の効用があります。これらの多くの効用が経済価値で表現できると良いと思います。

■まとめ
サーキュラーエコノミーという考え方があります(参考文献5)。資源の価値を最大限に活用できる市場を作り出す経済枠組みです。江戸時代の木造建築物が現在に残っているように、木造建築物は長く利用できるポテンシャルを持っています。現在の様々な技術を活用して、長く利用でき、かつ、廃棄段階での分解や再利用性を考慮し、子、孫、ひ孫の世代にも気を使った木造建築物の設計が進むと良いですね。


参考文献1:LIFULL HOME'S PRESS/ライフルホームズプレス「2026年4月、SHK制度が改正へ。「炭素貯蔵量」項目の新設で木造建築の価値は変わるのか? (2026/2/13)」(2026年2月16日閲覧)
https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01914/

参考文献2:環境省ホームページ「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(2026年2月16日閲覧)
https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/index.html

参考文献3:読売新聞オンライン「解体までの建築物「生涯CO2」算出義務化へ、政府が制度検討(2026/1/6)」(2026年2月24日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/attach/pdf/handbook-21.pdf

参考文献4:年金積立金管理運用独立行政法人「ESG投資とは」(2026年2月23日閲覧)
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/esginvestments/

参考文献5:産総研マガジン「サーキュラーエコノミーとは?」(2026年2月23日閲覧)
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20231011.html



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