今月は桜の倒木のニュースからソメイヨシノとの関わり方について、少し考えてみたいと思います。
■ソメイヨシノの倒木
今年の3月7日に東京の砧公園でソメイヨシノが倒れ、通りかかった方がけがをされる事故がありました(参考文献1)。昨年9月にも同じ東京の駒沢オリンピック公園で同様の事故が起きていいます(参考文献2)。ともに樹高が10mを超えるソメイヨシノが倒れていますが、このような例は全国でも多くみられるようです。
■考えられる倒木理由
ソメイヨシノの倒木理由は参考文献1でいくつか指摘されています。1つ目は寿命です。戦後の復興期に植えられたものが寿命の60年から80年を迎えているとされています。2つ目は昨年5月にこのコーナーでも取り上げた特定外来生物のクビアカツヤカミキリによる被害です。3つ目は街路樹特有の環境です。根が張りにくい、通行の邪魔にならないムリした樹形などです(参考文献1)。
■進む様々な調査
一方で、樹齢 130 年を超えるソメイヨシノが確認されるなど、寿命が倒木の原因と言い切ることはできないようです。フィールドの調査では、樹齢100年を超える個体で健全な萌芽枝の延伸が確認されており、サイズに関係なく幹の腐朽が倒木に影響しているとの指摘もあります(参考文献3)。また、ソメイヨシノの衰退状況を外観から容易に判定する研究も進められています。小径木では課題があるようですが、枝葉密度、樹冠の大きさ、樹冠形状、樹冠変形などから総合的に判断する方法も提案されています(参考文献4)。このような地道な研究により、倒木に至るメカニズムの究明や事前予知や予防が進むと良いですね。
■まとめ
ソメイヨシノは私たちに親しみのある木です。立派な桜並木は地域に親しまれ、地域の文化の形成にも一役買っています。そのような木であるからこそ、適切な管理が求められます。地域住民と行政との間で街路樹であるソメイヨシノの管理方法の合意形成の在り方を探る取り組みもみられます(参考文献5)。木の状況を地域住民が理解し、次の世代へのうまく引き継がれていくと良いと思います。
参考文献1:読売新聞オンライン「世田谷区の砧公園で10m超の木が倒れ、70代女性が下敷きに…東京消防庁がチェーンソーで切断し救助 (2026/3/7)」(2026年3月15日閲覧)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260307-GYT1T00197/
参考文献2:TBS NEWS DIG「倒木で自転車の女性がけが…高さ10数mの桜の木が根元から折れる 東京・駒沢オリンピック公園のサイクリングコース(2025/9/14)」(2026年3月15日閲覧)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2169966?display=1
参考文献3:勝木俊雄、岩本宏二郎「新宿御苑における高齢の‘染井吉野’の現況」樹木医学研究 第21巻2号(2017)、(2026年3月15日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/treeforesthealth/21/2/21_73/_pdf
参考文献4:日高英二「ソメイヨシノの樹形判定による樹勢衰退度の評価」南九州大学研報 48A:37-46 (2018) 、(2026年3月15日閲覧)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010921906.pdf
参考文献5:国土技術政策総合研究所 緑化生態研究室「街路樹の倒状対策の手引き 第6章 地域住民との合意形成」国総研資料 第1059号(平成28年度)、(2026年3月15日閲覧)
https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1059pdf/Ks1059011.pdf
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