今月は道端の雑草は雑木の伐採のニュースから、野生動物と人とのかかわり方について考えてみたいと思います。
■富山で道路沿いの雑草や雑木を伐採
野生動物が目撃されている富山市西大沢の河川敷に近い道路沿いの国有林で、繁茂した木竹や灌木を伐採する活動が行われています。目的は、見通しをよくすることで、野生動物の隠れ場所を減らし、人の生活の場との緩衝帯としての機能を回復させ、人との遭遇を減らすことです。林野庁や建設業者の団体の方々が計画的に場所を変えて対応しています(参考文献1、2)。
■各地で進む緩衝帯の整備とその効果
緩衝帯の整備は各地で行なわれています。例えば、長野県の中野市では森林づくり推進支援金を費用に充てるなど工夫をしています(参考文献3)。また、専門家による緩衝帯の整備効果の検証も行われています。石川県金沢市では、4 箇所の整備された緩衝帯に自動撮影カメラを設置し、緩衝帯と奥の森で撮影された哺乳類の数を比較したそうです。効果が確認された緩衝帯は3箇所で、緩衝帯の効果は、形状、立地など諸条件の影響を受けると指摘されています(参考文献4)。
■人と野生動物との適切なかかわり方を維持するために
人と野生動物の共存には、適切なかかわり方の維持が大切です。現在は、山間地域の人口減少や高齢化による耕作放棄地の増加が見通しの悪い環境を増やし、何気なく放置してしまった作物なども影響し、野生動物と人間の生活圏の距離が短くなってしまっています。このような問題が全国に見られる中、農林水産省では、野生鳥獣を対象に、シカ、イノシシ、サル、カラス、クマの具体的な特徴を示して、効果的な対策、電気柵設置時の留意点、法律に基づく捕獲とジビエとしての商品化活動などの多くの事例を紹介しています(参考文献5)。野生動物との適切な関わり方を維持していくには、待ったなしのクマへの安全対策が前提のもと、それぞれの鳥獣の特性を知ったうえで、ドローンや生成AIなどの最新の技術も活用し、農林業だけではない広い分野の専門家が知恵を出しあい、次の世代に継承していくことが大切ではないかと思います。
■まとめ
人と野生動物との適度なかかわり方は、相互の知恵比べの上に成立するとも言えます。クマ出没のニュースが連日、報道されていますが、多くの人が人間と野生動物の共存の在り方を考えていくきっかけになればよいですね。
参考文献1:NHK ONE「“クマなど隠れ場所減らす”道路沿いの雑草や雑木を伐採 富山(2026/6/8)」(2026年6月13日閲覧)
https://limo.media/articles/-/123464
参考文献2:(一社)名古屋林業土木協会「防風保安林の整備作業(獣害対策) ~富山支部~(2026/6/10)」(2026年6月14日閲覧)
https://mori-mori.co.jp/activity/%E9%98%B2%E9%A2%A8%E4%BF%9D%E5%AE%89%E6%9E%97%E3%81%AE%E6%95%B4%E5%82%99%E4%BD%9C%E6%A5%AD%EF%BC%88%E7%8D%A3%E5%AE%B3%E5%AF%BE%E7%AD%96%EF%BC%89-%EF%BD%9E%E5%AF%8C%E5%B1%B1%E6%94%AF%E9%83%A8%EF%BD%9E/
参考文献3:中野市「森林づくり推進支援金を活用し、森林緩衝帯整備を実施しました(2023年2月22日)」 (2026年6月14日閲覧)
https://www.city.nakano.nagano.jp/docs/2020033000059/
参考文献4:玉腰朋也、大井徹「野生動物の侵入防止用に整備された緩衝帯の実態について」石川県立大学研究紀要 第8号, 紀要論文, 2025-05-01 (2026年6月14日閲覧)
https://ishikawa-pu.repo.nii.ac.jp/records/2000078
参考文献5:農林水産省aff「地域を守る鳥獣対策(2022年1月)」 (2026年6月13日閲覧)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2201/pdf/aff2201_all.pdf
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