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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2026年8月 緑豊かな景観の維持について考える

今月は景観を維持する神戸市のニュース記事から、緑豊かな景観がもたらす価値にについて考えてみたいと思います。

■神戸市の取り組み
神戸市は1970年代から「グリーンコウベ作戦」として緑化を進め、市内におよそ10万本の街路樹と1700か所の公園を有しています。倒木や根の成長による歩道の隆起などを防ぐため、樹木医などの専門家によって抽出した2万5000本に及ぶ樹木を対象に、伐採や剪定などを順次進めているそうです。また、緑を次の世代へ引き継ぐ取り組みや、市民がLINEで情報提供する「道路公園110番」という仕組みも整えています(参考文献1)。

■森林の景観を保全する活動の変遷
日本には緑豊かな景観を保全する考えが古くからあり、1897(明治30)年の旧森林法には、名所旧跡や社寺の背景となっていた森林を風致保安林として美観維持のために原則禁伐とすることが定められました。時を経て2005(平成17)年には、景観法とセットになる形で改正文化財保護法が施行され、ユネスコが「世界遺産条約履行のための作業指針」(1992年)の中で定義した文化的景観の考えが付加されています。文化的景観の考えのもとでは、緑豊かな価値を地域の生業、産業、文化などと関連付けて読み解き、動的な価値として継続的に地域づくりに活かし、その価値は来訪者も含め地域で共有して次の世代に伝えていくことが望まれています(参考文献2)。

■都市部での緑化の効果
林野庁が示している森林の多面的な機能の中で、景観に関係する機能として、快適環境形成機能、保健・レクリエーション機能、文化機能などがあげられます(参考文献3)。その中でも都市緑化の景観形成では健康への効果が注目されています。専門家の調査からは、病院内の緑化では健康への効果を期待されていること、屋上や壁面の緑化ではオフィスからの立体的な視認形態から安心感やストレスの改善などが見られること、などが確認され、これらの価値が効果的に得られる街のデザインや受け手側の理解の両面からの取り組みが求められています(参考文献4)。

■まとめ
国土交通省は都市部の緑化を支援する仕組みを構築しています。優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)は、民間事業者や地方公共団体による良質な緑地確保の取組みを、上述した健康を含むWell-beingに気候変動対策や生物多様性の確保なども加えた「質」の視点と、面積の「量」の視点から、国土交通大臣が評価・認定し、インセンティブを付与します(参考文献5)。先月取り上げた人と野生動物の持続的な共存の中に見出される景色も人間の文化的営みが築き上げる景観ですね。森林インストラクターも森林の価値を伝ええるインタープリターとして、景観や健康といった視点からもその役割を担っていきたいと思います。


参考文献1:ラジオ関西トピックス「【神戸市】木陰や景観守るための取り組み推進 点検・植え替えなど樹木の維持管理(2026/7/10)」(2026年7月12日閲覧)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f15e19ae1eb681d41d2baaf1eda9c28c57b13589

参考文献2:奥敬一「森林景観の保全における文化的景観概念の役割」林業経済学会2019年春季大会論文、林業経済研究 Vol.65 No.1 (2019) (2026年7月13日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfe/65/1/65_39/_pdf/-char/ja/

参考文献3:林野庁「森林の有する多面的機能について」 (2026年7月15日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tamenteki/

参考文献4:山本聡「良好な景観形成と人の健康をささえる都市緑化~緑地を認識するという視点から~」日緑工誌,J. Jpn. Soc. Reveget. Tech., 44 (3), 443-446, (2019) (2026年7月15日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/44/3/44_443/_pdf/-char/ja

参考文献5:国土交通省都市局都市環境課「TSUNAG(優良緑地確保計画認定制度)【詳細版】-緑地確保の取組の価値の見える化-」 (2026年7月14日閲覧)
https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001967379.pdf



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