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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2015年5月 ダニとの共存

今月はマダニの被害が西日本の太平洋側から日本海側や東日本にも広がりつつあるといニュースがありました。そこで、野外活動が活発になる時期に先立ち、ダニについて考えてみたいと思います。

■拡大しつつあるマダニが媒介する感染症被害
マダニが媒介する感染症「日本紅斑熱」が昨年10月、福井県で10年ぶりに確認されたそうです。日本のマダニの被害は1984年に報告され、年間発生数は10〜20で推移してきましたが、国への届け出が義務付けられた1999年以降は増加傾向がつづき、2014年は200件を超えています。被害の多くは西日本でみられていますが、シカやイノシシの北上に伴いマダニの移動が加速しているとの指摘もあります(参考文献1、参考文献2)。

■野外活動における注意点
参考文献1では、医療現場の困惑を紹介しています。早期の治療が効果的であるため、屋外活動をする時には、マダニのことをよく知り、症状が出た時には、きちんと状況を説明できる心構えが大切であるといえます。野外活動時の対策としては、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用して肌を露出しないことが基本ですが、それでも相手は小さいマダニ(ダニの中では大きい方で最大10〜20mmになります)ですので、完全に防ぐことはできません。国立感染症研究所が提示しているよう、「ダニ忌避剤を使用する」、「作業後入浴し、注意深く付着ダニの除去を行う。この際、感染を防ぐためダニを指でつぶさず、頭部をピンセットなどで摘んで除去する、(マダニは口器が長く皮膚に深く 刺咬していて、入浴だけでは除去できない可能性がある。)」という対処方法も知っておきましょう(参考文献3)。マダニからの感染例は、海岸部、民家の裏庭、田畑、あぜ道、河川敷でもあるそうで(参考文献1)、身近な問題として考える必要があります。

■自然界におけるダニの役割
ダニは感染症を引き起こす厄介者と考えてしまいがちですが、その種類は世界で4万種とされ、私たちに影響を与えるダニはごく一部に過ぎません。自然界では、多くのダニたちが、有機物を分解する役割を果たしています。ダニがいることで、いろいろなものが土に帰っていくのです。そこでは、ダニたちはキクイムシなど様々な生き物と共生しながら、生態学的面から役割を果たしています(参考文献4)。家にはイエダニもいますね。私たち人間側がうまく共存していく知恵を持つ必要があるのです。

■まとめ

今回は、マダニを媒介した感染症を身近な問題ととらえる一方で、ダニの自然界での役割からダニとの共存の重要性を指摘しました。ダニを危険な生き物と一方的に決めつけるのではなく、きちんとした理解と対応で、うまく共存していく必要があります。私たちの森林インストラクターも情報を積極的に発信し(参考文献5)、野外活動をサポートしていきます。


参考文献1:福井新聞ホームページ,「GWレジャー、マダニの感染症注意 生息域は山林や野原のみならず拡大 2015年4月17日」,(2015年4月23日参照)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/medical/69038.html

参考文献2:国立感染症研究所 臨床ニュース,「日本紅斑熱、マダニ被害で急増 感染症予防法の施行後、報告数最多 2014年10月31日」,(2015年4月23日参照)
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/265206/

参考文献3:国立感染症研究所 感染症情報センターホームページ, 「感染症の話 日本紅斑熱」, 2002年第25週号(2002年6月17日〜6月23日)掲載 」,(2015年4月26日参照)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_25/k02_25.html

参考文献4:岡部 貴美子「キクイムシ関連ダニの系統と生態」、日本森林学会誌 、Vol. 91 (2009) No. 6、2010(2015年4月23日参照)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs/91/6/91_6_461/_pdf

参考文献5:NHK岡山放送局ホームページ,「シリーズ感染症に備える〜ダニ感染症に注意〜 2013年4月17日放送」, (2015年4月23日参照)
http://www.nhk.or.jp/okayama-mogitate-blog/800/153573.html


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