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2017年9月 木製ガードレールについて考える 

和歌山県は国立公園内の主要道路や観光名所が集中するエリアで木製ガードレールを導入する方針を決めたそうです(参考文献1)。そこで、今月は木製ガードレールについて考えてみたいと思います。

■和歌山県の導入方針
和歌山県では、木製ガードレールの導入により、観光客に向けた道路環境のアピールや紀州材の利用拡大を目指すとのこと。木製ガードレールの耐久性は防腐処理技術の進歩で鋼製並みの15年ほどになったものの、設置費用は鋼製に比べ4倍近くになるそうです(参考文献1)。  

■普及が進まない現状
木製ガードレールは2003年に長野県で導入されて以降、少しずつ全国に普及していますが、上述のように費用面で課題があり、普及が進んでいるとまでは言えないようです。長野県でも観光地の一部の道路に導入している状況ですし、和歌山県でも費用と工法の問題で導入が進まなかったとのことです(参考文献1)。

■間接的な効果のとらえ方がポイント
和歌山県では木製ガードレールの導入による景観の改善や地域林業の活性化を期待しています。これらの効果は、ガードレールの投資回収には直接は表れない間接的なものですが、定量的に分析できると、導入判断がしやすくなります。このような自然の生態系保全や景観改善の効果を経済価値で定量化する試みは社会科学の分野で費用便益分析として検討が進んでいます(参考文献2)。この分析には様々な算定手法がありますが、例えば、景観の改善では、観光客の増加や地価の上昇、地域林業の活性化では、森林整備がもたらす森林の公益的機能の発揮や地域雇用の増加、などを対象に分析することができ、活用が望まれています。

■まとめ
今月は木製ガードレールの導入に関するニュースを事例に、環境や景観という間接的な効果を分析する手法について触れてみました。今回紹介した分析手法については国や大学などで様々な取り組みが進んでいます。目先の利益や投資回収にとらわれずに公益的な価値をきちんと分析して評価し、意思決定に組み入れていく仕組みが進むこと良いですね。

参考文献1:毎日新聞地方版/和歌山「ガードレール木造化へ 県、主要観光地で 紀州材利用を拡大(201782日)」(2017816日閲覧 )https://mainichi.jp/articles/20170802/ddl/k30/010/349000c

参考文献2:栗山浩一「森林生態系の価値は評価できるか」早稲田大学政治経済学部環境経済学ワーキングペーパー#9903(2017820日閲覧) http://kkuri.eco.coocan.jp/research/workingpaper/Wp9903.pdf


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