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Forest Instructor Association of Japan

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2019年12月 ブナの実からその森に生息する生物の多様性について考える

東北地方においてブナの実が凶作というニュース記事がありましたので、今回はブナの実からその森に生息する生物の多様性について少し考えてみたいと思います。

■東北地方におけるブナの実
福島県を除く東北地方の5つの県でブナの実が2年ぶりにほとんど実がならない「大凶作」となっており、餌不足による熊の人里への移動に注意が呼びかけられています(参考文献1)。ブナの実と熊の人里での出没の関係性については様々な研究がなされて相関が認められています(参考文献2)。

■ブナの実の凶作と豊作
ブナは成長が遅く実をつけるまでに50年から60年かかり、その後は5年に一度程度しか実をつけません。白神山地では「ブナの実一升、金一升」という言葉があり、ブナの実は貴重な存在とされています(参考文献3)。実が凶作と豊作を繰り返すことは、その森に生息する生物の個体数調整につながり、周囲の生き物たちとはお互いに関係しあっています。

■ブナ林と生物多様性
東北地方にはブナの純林が多いですが、その場合、実の作柄はそこに生息する生物たちとって死活問題ですよね。しかし、ナラなど他の樹種が混在する森林では他の実がバックアップのような役割を担い、ブナの実の影響は緩和されます。ブナの純林は生物多様性の高い林と言われていますが、実は、その周辺に生える様々な樹種の実が生物多様性の維持に一役かっているのかもしれませんね。ちなみに、国の調査でも生物多様性が特定の純林で著しく高いというわけではないようです(参考文献4)。

■まとめ
実際に長野県の発表では、今年はブナの実は凶作の傾向にあるものの、ドングリなどナラの実は凶作とはいえず、熊出没の警戒は東北ほどではないようです(参考文献5)。どうしてもブナの森には注目が集まりがちですが、その周辺の森との関係など広い視野で木と生物の関係に思いを巡らしてみては如何でしょう。

参考文献1:NHK NEWS WEB「山形 NEWS WEB ブナの実が大凶作 クマに注意(2019年11月16日)」(2019年10月20日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20191116/6020005346.html

参考文献2:森林総合研究所 平成15年度 研究成果選集「ブナの実がならない年はツキノワグマが里に出てくる?」 (2019年11月18日閲覧)
https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2003/documents/p16-17.pdf

参考文献3:白神山美水館ホームページ「貴重なブナの実」(2019年11月20日閲覧)
http://www.bisuikan.co.jp/shirakami/buna_fruit.html

参考文献4:農林水産省ホームページ「森林資源モニタリング調査について」(2019年11月18日閲覧)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/tayouseichousa/attach/pdf/chousakekka-1.pdf

参考文献5:長野県ホームページ「令和元年度堅果類豊凶調査結果及びツキノワグマ出没予測(2019年10月2日)」(2019年11月18日閲覧)
https://www.pref.nagano.lg.jp/yasei/happyou/191002.html




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