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Forest Instructor Association of Japan

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2020年7月 クマの目撃情報の増加から自然の生き物と人との関わりを考える

今年はクマの目撃情報が例年のより多くみられるようです(参考文献1)。そこで、今月は自然の生き物と人との関わりについて少し考えてみたいと思います。

■全国に見られるクマの目撃情報の増加
クマの人里への出没は全国的に問題になっているようです。参考文献1の島根に加え、今年の5月から6月のニュース記事だけでも、北海道、青森、福島、栃木、長野、富山、石川、と全国に見られます(参考文献2)。

■クマの人里への移動の要因は様々
春先は山菜やタケノコ採りに人が山中に入る時期であり、注意喚起のためにもクマ出没のニュースは多い傾向にあります。しかし、今年は昨年秋の木の実の不作、暖冬による浅い冬眠などの理由に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛(ステイホーム)が重なったと考えられます。特にステイホームは市中の人の外出や山歩きなどの野外での活動の減少につながり、人を怖がるクマの行動範囲を広げることに繋がってしまいます。

■背後にある人と自然の生き物との関係
外出自粛の増加は、クマ以外でもシカの東京の荒川河川敷での捕獲、首都圏におけるネズミの目撃情報の増加(参考文献3)、更には観光地のシカやウサギの行動変化など、自然界への様々な影響が懸念されています。そこには以前からあった人間と自然の生き物の関わり方の問題が見えてきます。例えば、クマでは人の気配を感じて警戒する整備された田畑が減り行動範囲が人里近くに広がっている状況があげられます。シカの場合はハンターの減少による個体数の増加があります。ネズミはたまに地下鉄の駅の排水溝で見かけることがありますが首都圏の人工物をうまく利用して繁殖を増やしているのかもしれません。観光地の野生動物はそもそも餌やりなど人間側の都合で築いたものです。今回の現象から背後にある人間と自然の生き物の関係に改めて気づくことも大切ではないでしょうか?

■まとめ
外出抑制に伴う自然の生き物の行動域の変化は海外でも多く確認されています。イギリスではロンドン近郊の住宅地の芝に現れたシカの群れ、中東イスラエルでは町のゴミ箱や花壇を荒らすイノシシの群れ、南米チリでは首都サンティアゴで捕獲されたピューマなどです(参考文献3)。COVID-19による人の行動変化は自然界の生き物と人との関係の大切さを再認識する機会を世界中の人たちに与えているのかもしれませんね。

参考文献1:中国新聞デジタル「島根県内でクマ目撃情報が増加 4月は前年比1.5倍の38件 邑南や浜田、吉賀などで(2020年6月7日)」(2020年6月16日閲覧)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9e8372f2d0abfcdf291d4ac2253c1e3d018fa00

参考文献2:朝日新聞デジタル「クマ出没に関するトピックス」 (2020年6月14日閲覧)
https://www.asahi.com/topics/word/%E3%82%AF%E3%83%9E%E5%87%BA%E6%B2%A1.html

参考文献3:NHK NEWS WEB「ねずみが日中住宅街に 営業自粛などで行動変化(2020年5月7日)」(2020年6月14日閲覧)
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/35870.html



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