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Forest Instructor Association of Japan

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2021年9月 マイマイガとの付き合い方について考える

昨年あたりからマイマイガの多く見られる地域があり、今年もその発生が続いているようです。そこで、今月は比較的身近な存在でもあるマイマイガとの付き合い方について、考えてみたいと思います。

■マイマイガの発生
富山県黒部市ではマイマイガが大量発生し、成虫が産んだ卵が至る所で見られる状況となり、今後の大量発生を抑えるため、市民に対してホームページで卵の駆除を呼びかけています(参考文献1)。このような状況は石川県や長野県など他の地域でも見られます(参考文献2、3)。

■マイマイガとは
マイマイガはドクガで、ヨーロッパ型マイマイガ(EGM:Europian gypsy moth)とアジア型マイマイガ(AGM:Asian gypsy moth)に分類されます。日本にみられるAGMは広葉樹やカラマツなどの落葉樹を好み、卵の塊は数百の卵からなり、成虫後の寿命は一週間ほどです。日本での大発生は10年ほどの周期と言われてきましたが、3~13年と不定期の場合も見られ、発生が収まる理由は天敵昆虫によるという報告があります。AGMは海外での生態系影響が懸念されており、米国、カナダ、メキシコでは船舶を介した AGMの侵入を警戒しています。日本から来た船の甲板にマイマイガの卵塊があることを税関当局が見つけ、米国土安全保障省が公海上で一時、停船を命じた例もあるそうです(参考文献4、5)。

■身近な生き物
マイマイガはドクガですので、幼虫時の体毛が人に触れると肌のかぶれ等を引き起こしたりしますが、成虫になると人体に害を与えないと言われています。また、鱗粉が皮膚や目に付くとかゆくなることがあるそうです。大発生への対策には、公共的な場所や家など様々な場面での卵塊の除去が大切です。家に卵塊を産み付けられた例では、よく見る外壁の他にドアや窓のレールや窓枠、意外なところでは外に干した洗濯物、家の中のヨガボールなどもあります。余談ですが、筆者は昔、車のタイヤ側面に産み付けられたことがありました。その卵塊は40km/hで数分走った程度では半分しか取れず、その接着力と空気抵抗の少ない形状に驚きました。

■相手を知ってお付き合い
マイマイガは身近な存在であるため、自治体や市民が協力して大量発生を抑えたいですね。海外への影響なども知っておけば港湾がある地域では駆除の重要性をより理解できると思います。多くの自治体は、その生態や除去の方法などをホームページ等に掲載しています。数年ごとに繰り返すものでもあり、相手を正しく知って気長に付き合うことが大切だと思います。

参考文献1:富山テレビ「電柱にびっしり卵が…蛾の一種『マイマイガ』大量発生で住民が対応に苦慮 触ると痒みや発疹引き起こす事も(2021/8/17)」(2021年8月18日閲覧)
https://www.fnn.jp/articles/-/225575

参考文献2:中日新聞「【石川】ブルーベリー壊滅 能登町特産 大打撃 マイマイガ幼虫大発生(2021/6/25)」(2021年8月21日閲覧)
https://www.chunichi.co.jp/article/278949

参考文献3:市民タイムズ「マイマイガ大発生の兆し 注意呼び掛け(2021/8/21)」(2021年8月21日閲覧)
https://www.shimintimes.co.jp/news/2021/04/post-13553.php

参考文献4:環境省ホームページ「我が国におけるマイマイガの生態と防除 (2021年8月20日閲覧)
https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/pestinfo/pdf/pestinfo_89_02.pdf

参考文献5:大橋章博「大発生したマイマイガはその後どうなった?」岐阜県森林研究所, 2018年3月, (2021年8月21日閲覧)
https://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/kankyou/mori160101.html



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