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Forest Instructor Association of Japan

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2022年3月 ヤブツバキから木の文化について考える

山口県でヤブツバキの萌芽更新についての調査が行われているそうです。そこで、今月は身近な木の文化について考えてみたいと思います。

■ヤブツバキの調査
山口県萩市のヤブツバキ林は住民が燃料として使うことで高密度な林を形成していましたが、約20年前から幹や枝が枯れるなど樹勢の衰えが目立ってきたそうです。ヤブツバキは切り株から芽が出る萌芽更新を行う特性をもっており、伐採した切り株からの樹勢回復の調査が行われ、約7割から芽が出る可能性が確認されています(参考文献1)。

■人々の近くにあったツバキ
ツバキは縄文時代から利用され、室町時代中期からは茶花として茶の湯の文化に取り込まれ、江戸時代にはツバキブームが250年続くなど、私たちに身近な存在でした。18世紀始めにはツバキがヨーロッパに渡り「日本のバラ」とよばれ、イタリアオペラ「椿姫」が生まれています(参考文献2)。
このように世界の人々をも魅了してきたツバキ。萌芽更新して資源を枯渇することなく、持続的に人とかかわり続けてきたことが文化を育んだのかもしれません。

■全国の里山で見られる木と人のつながり
ここで萌芽更新に目を向けてみます。ヤブツバキ同様にコナラ、クヌギなどの里山を代表する木も萌芽更新します。もともと、これらの木は伐採と萌芽更新を20年程度で繰り返し、持続的に様々な用途に利用されてきました。しかし、昭和30年代の燃料革命以降、里山の利用が激減し、育ちすぎた木が風景を変えています。加えて、木の利用がしづらい、萌芽更新は弱い、ナラ枯れ、など、問題が顕在化しています(参考文献3)。このことは全国の身近な里山で見られます。

■木と人のつながりが再注目される今を大切に
近年、防災の観点から、電気がなくてもお湯が沸かせ暖が取れる薪の活用が少しずつ見直されています。筆者の地元では薪棚を見かけることが増えました。また、木を使った日用品はマイクロプラスチックのような問題がないことからも注目されています。木と人のつながりが見直される中、ヤブツバキの萌芽更新の調査など地道な分析から得られる知見が全国の里山に展開されると良いと思います。合わせてツバキの文化も思い出してみてはいかがでしょうか。そういえば江戸時代の絵画にはツバキが良く登場する気がします。

参考文献1:朝日新聞「ヤブツバキ 樹勢取り戻そう 伐採後芽吹くか試(2022/2/10)」(2022年2月18日閲覧)
https://www.asahi.com/articles/ASQ2976WMQ29TZNB002.html

参考文献2:国立歴史民俗博物館「くらしの植物苑だより No.106 - 茶の湯の主役は「日本のバラ」」(2022年2月17日閲覧)
https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/column/2006/c0106.html

参考文献3:林野庁「里山林の広葉樹循環利用のすすめ」(2022年2月17日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/jyunkanriyou/index.html




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