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Newsを考察

2022年5月 ロシア産の木材輸入の動きからウッドショックを再考

このコーナーでは2021年8月にコロナ禍の影響を受けたウッドショックを取り上げ、林業を取り巻く環境の変化やあるべき姿について考えてみました。そこにロシア産の木材輸入が経済産業大臣の許可制なるというニュースがありましたので、木材貿易について再度考えてみたいと思います。

■ロシア産の木材輸入への日本政府の対応
日本政府は外国為替及び外国貿易法(外為法)を改正し、ロシアからの一部物品の輸入禁止措置を導入することとなり、4月19日からロシアからのアルコール飲料、木材、機械類・電気機械の輸入が経済産業大臣の承認制となるそうです(参考文献1)。

■ロシア産木材の影響
影響は既に建築現場で出ているようです(参考文献2)。日本の木材輸入額におけるロシアの割合は2021年度で5%程度、輸入量では製材18%程度、集成材12%程度です(参考文献3)。輸入額規模ではロシア産が多いわけではないですが、製材や集成材では影響が出てきそうですね。一方、ロシアに視点を置くと多くの材は中国やフィンランドに輸出されており、木材加工品として私たちにも影響が出てくるかもしれません(参考文献4)。

■ウッドショック対応のさらなる加速を
ウッドショックに関する昨年8月の記事で次の4点に触れました。(1)1990年代からみられた木材価格の高騰がウッドショックで顕著になった、(2)木材への高付加価値化や価格の季節変動抑制などが効果的である分析が進んでいる、(3)日本では税制面や林野庁の森林経営管理制度など林業を支える制度が整いつつある、(4)最新の知見を活かした正しい育林の確実な実施を伴う価格変動影響が少ない林業経営が望まれること、です。今回のロシアの影響を考えると、上記(4)を実現の一層の加速が望まれます。加えて、中国やフィンランドの例からも加工木材としての間接的影響も想定され、サプライチェーンの影響も知る必要があると思います。

■まとめ
おしゃれな北欧雑貨のかごや、甘味料にもなるキシリトールなどの原材料はシラカバです(参考文献5)。シラカバの主要な産地の一つはロシアです。シラカバの影響は建築材などに比べると極めて小さく話題になるほどではないのですが、手軽に手にすることができる身近な問題としてとらえることも必要だと思います。ウクライナも小麦の影響もニュースでよく耳にしますが、サプライチェーンのつながり理解しておくことが大切ですね。

参考文献1:経済産業省ニュースリリース「ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(ロシアからの一部物品の輸入禁止措置)(2022/4/12)」(2022年4月17日閲覧)
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220412002/20220412002.html

参考文献2:NHK NEWS WEB 「ロシア発『ウッドショック』の衝撃 ~もう家が買えない!?~(2022/4/15)」 (2022年4月17日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220415/k10013583561000.html

参考文献3:林野庁木材貿易対策室「2020年の木材輸入実績(2022年3月)」 (2022年4月17日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/boutai/yunyuu/attach/pdf/boueki-75.pdf

参考文献4:林野庁木材貿易対策室「【海外情報】2020 年における世界の木材需給動向(2021年12月)」 (2022年4月17日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/boutai/yunyuu/attach/pdf/kakkoku_jyoho-12.pdf

参考文献5:国立民族博物館「月刊みんぱく2007年4月号「フィンランドの森」」 (2022年4月17日閲覧)
https://older.minpaku.ac.jp/museum/showcase/bookbite/gekkan/200704txt



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