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Forest Instructor Association of Japan

Newsを考察

2022年10月 木と人のつながりの国による違いについて考える

今月はニュースではないのですがフィンランド人が木をハグする大会を開催したという記事から、木と人のつながりの国による違いについて少し考えてみたいと思います。

■木とハグする大会
フィンランドで今年8月にツリーハグ世界選手権という催しが開催されたそうです。新型コロナウイルスが流行した2020年に家に閉じこもりがちになった人たちを元気づけるためにフィンランドの企業が始めたもので、目的は自然が持つ癒す力を知ってもらうためとのことです(参考文献1)。

■日本との共通項も多いフィンランド
フィンランドは森と湖の国と言われています。その森林率と人工林率はそれぞれ73.7%(OECD加盟国中1位)と32.9%であり、日本の68.4%(同3位)と40.8%とも近く、両国とも森林が豊かで、その森を活用してきた国と言えます(参考文献2)。少し古い1986年の調査ですが、フィンランドでは森林への親しみの形成が、木に身近に触れることから作られる「経験型」で、当時の西ドイツの「理念型」とは異なるとのことです(参考文献3)。日本も木を使う多様な文化を有する点では「経験型」かもしれません。また、同調査では自然への畏敬の念に近い感覚も日本同様に有しているようです。

■木との関り方においてフィンランドから学ぶこと
一方でフィンランドと日本の森林環境の相違点には地形、気候、樹種など色々ありますが、ここでは樹種について考えてみたいと思います。調査条件が同じとは言えないのでざっくりとした比較ですが、日本が500種(参考文献4)、フィンランドが30種(参考文献5)と一桁違います。日本が多様な木を適材適所に使いこなしてきたのに対し、フィンランドでは限られた木を大切に使う習慣が育まれたのかもしれません。例えば、シラカバは家具、籠(皮の部分)、樹液(キシリトール)、サウナで使うヴィヒタ、など多様な利用が生活に根付いています。このような特徴を理解してお互いが学び合えると良いですね。

■まとめ
好きな木のアンケートでフィンランドは自然の樹種が多い一方、日本は街路樹が多いそうです(参考文献3)。現代の日本では森の中の木より公園の街路樹に親しみがあるのかもしれません。近年、キャンプの人気も高まっていますし、自然に恵まれた環境でのリモートワークの動きも見られます。森との距離が縮まると良いと思います。

参考文献1:IDEAS FOR GOOD - iVoox「フィンランド人は、なぜ木を抱きしめるのか(2022/9/6)」(2022年9月10日閲覧)
https://ideasforgood.jp/2022/09/06/treehugging-championships/

参考文献2:林野庁「世界森林資源評価(FRA)2020メインレポート 概要」(2022年9月19日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-5.pdf

参考文献3:菅原聴「フィンランドにおいての森林環境に対する住民意識」信州大学農学部森林経理学研究室 (1986)、(2022年9月11日閲覧)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010360082.pdf

参考文献4:九州森林管理局「森林と木」(2022年9月22日閲覧)
https://www.rinya.maff.go.jp/kyusyu/invitation/q_a/rkuma10a.html

参考文献5:PUUINFO「木の魅力 フィンランドの森林 木の種類」(2022年9月22日閲覧)
https://puuinfo.fi/puutieto/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E6%A3%AE%E6%9E%97/%E6%9C%A8%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E/?lang=ja



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