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2023年1月 風流踊のユネスコ無形文化遺産登録について考える

今月は日本各地の風流踊のユネスコ無形文化遺産への登録決定のニュースについて考えてみたいと思います。

■風流踊のユネスコ無形文化遺産登録の決定
風流踊は盆踊や念仏踊など各地の歴史や風土に応じて伝承されてきた民俗芸能です。ユネスコ無形文化遺産の登録決定では、世代を超えて伝承され被災地復興の精神的な基盤となるなど、文化的な意味と社会的な機能が評価されたそうです。秋田県の「西馬音内の盆踊」、岐阜県の「寒水の掛踊」、長崎県の「対馬の盆踊」など24都府県41件の伝統行事をまとめて1件としての登録決定です(参考文献1)。

■ユネスコ無形文化遺産とは
2003年のユネスコ総会で「無形文化遺産の保護に関する条約(締結国数180。日本は2004年に締結)」が採択されました。この条約の目的は、無形文化遺産の保護、無形文化遺産の重要性及び相互評価の重要性に関する意識の向上等であり、日本では2008年の能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎にはじまり、身近なところでは、結城紬(2010年)、和食(2013年)、和紙(2014年)、伝統建築工匠の技(2020年)など多くの無形文化財が登録されています(参考文献2)。

■全国の踊りからみえる自然との関り
風流踊には、除災、雨乞い祈願、豊作祈願、先祖供養、五穀豊穣祈願など安寧な暮らしを願う人々の祈りが込められています(参考文献3)。風流踊りが全国に浸透した背景には、日々の暮らしが厳しい自然と共にあったからではないかと考えられます。登録済みの能や歌舞伎も、森の中に造られた舞台や松の鏡板などに、森の信仰など日本人の自然の関りを感じ取ることができます。他の登録文化財も自然とのつながりが見え隠れしますね。

■まとめ
風流踊りの原点とも言える一遍踊念仏は鎌倉時代の1279年に生まれたとされています。その後、娯楽の要素も加わって一般庶民に広がり、日本各地の小さな地域社会で脈々と親しまれてきました。踊る姿から自然とのつながりは想像しにくいかもしれませんが、気候変動やエネルギー枯渇など今起きているグローバルな問題の起点とも言える産業革命よりずっと前から続いてきた生活に根付いた文化に何かヒントがあるかもしれませんね。

参考文献1:NHK NEWS WEB「各地の盆踊りなど「風流踊」 ユネスコ無形文化遺産に登録決定(2022/11/30)」(2022年12月15日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221130/k10013908701000.html

参考文献2:文化庁「無形文化遺産」(2022年12月17日閲覧)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/mukei_bunka_isan/

参考文献3:文化庁「「風流踊」のユネスコ無形文化遺産への提案について(令和2年3月11日)」(2022年12月16日閲覧)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/92083601_01.pdf



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