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2021年3月 新種「カムチャツカナニワズ」の発見から生物種の多様性について考える

今月は北海道における新種「カムチャツカナニワズ」の発見から、生物種の多様性について考えてみたいと思います。

■北海道での新種発見
北海道オホーツク海側の斜里町で新種の樹木「カムチャツカナニワズ」が確認されたそうです(参考文献1)。新種に関しては、このコーナーでも2017年5月に紀伊半島のクマノザクラについて取り上げました。その際、日本では植物に限っても毎年のように新種が見つかっていると記しましたが、北海道では60年ぶりとのことです。

■生物種が豊かな日本
生物種は熱帯に近づくほど多いと言われています。ほとんどが温帯に属する日本では約9万種が確認され、緯度と面積が近い他の国との比較ではその多様性は高く、日本にしか生息しない固有種も131種と比較的多いそうです。この理由は島国で大陸と何度もくっついたり離れたりしたこと、離島が多いこと、気候に恵まれていること、南北に長く水系が分断され標高差が大きいことなど様々です。田んぼも重要な役割を果たしています(参考文献2)。

■北海道の特徴
北海道だけでも生物種は約1万4千確認されています。固有種としてシマフクロウ、ヒグマ、エゾシマリスなどはよく知られていますね。樹木ではエゾマツやトドマツなど本州にはない植生が見られ、高山植物には多くの固有種が存在しているそうです。加えて、北海道の豊かな自然の保全と、持続可能な利用のあり方は、アイヌ民族に伝わる自然観が参考になると言われています(参考文献3、4)。地域に根付いてきた自然と共存していく知恵は日本全国に見られます。このことが日本の生物種の多様性の長く維持してきた一つのポイントであることを改めて認識しておきたいです。

■生物種以外の多様性にも配慮を
多様性には遺伝子、種、生態系という3つの分類があります(参考文献3)。今回は種の多様性を取り上げました。種の多様性は分かりやすいですが、そこにだけに着目してしまうと、遺伝子のかく乱という問題が生じる恐れがあります(参考文献5)。生態系の保全にはこのような視点も意識しつつ、アイヌの事例にみられるように地域に根ざした自然と共存していく文化にも敬意を払って対応していく重要であると思います。ちなみに北海道は、東シベリア・西アラスカ系統、東アラスカ系統、チベット系統という3つの系統に近い遺伝子をもつヒグマが生息する貴重な地域だそうです。


参考文献1:北海道 NEWS WEB「道内約60年ぶり新しい樹木確認(2021/2/11)」(2021年2月16日閲覧)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210211/7000030502.html

参考文献2:環境省「豊かな日本の生態系」 (2021年2月18日閲覧)
http://agrinext.jp/archive/tayousei/chapter2/

参考文献3:北海道庁「北海道生物多様性保全計画」(2021年2月19日閲覧)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/tayousei/hozenkeikaku_1.pdf

参考文献4:島津礼子「先住民アイヌの知識,自然観と持続可能性」広島大学大学院教育学研究科紀要, 第三部, 第66号, pp69-77, (2017) (2021年2月19日閲覧)
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/4/44808/20180213101021140507/BullGradSchEducHU-Part3_66_69.pdf
参考文献5:津村義彦「広葉樹の植栽における遺伝子撹乱問題」森林科学54, (2008) (2021年2月19日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/54/0/54_KJ00005084476/_pdf





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